聖者の俤 No.32 乳房のひととせ 上巻 聖者ご法話聞き書き(授戒会の説教) 4

乳房のひととせ 上巻

中井常次郎(弁常居士)著

第四、酤酒戒 (筆記なし。)

飲酒は軽き罪なれども、酤酒、即ち酒を売りて、人に飲ましむるは罪重し。菩薩は利他を本とす。他の心を迷わすは、自ら飲んで迷う罪に過ぎたればなり。

第五、妄語戒

正見とは正しき見込み即ち真理を見る目である。正見により、正しき生活ができる。この戒は人生を徒らに過ごしてはならぬ事を戒める。動物的生活を戒むる戒である。

何事も皆いつわりの世の中に
死ぬる一つはまことなりけり

第六、説四衆過戒

人の悪口をいってはならぬが、殊に仏法に帰依した人の事を悪くいうのは、重い罪である。

第七、自讃毀他戒

自分をほめてはならぬ。うぬぼれは悪い。人が何と悪口をいうとも、忍んで受けるのが菩薩である。自分の悪いのに気が付けば、速に改めよ。人にほめられても喜ぶ勿れ。自分を毀る人あらば、わがために良い師匠だと思え。他人が毀られているのを見れば、その毀りを自分が引き受け、良い事を人に譲るのが仏子の務めである。

第八、慳貪不与戒

人に物を施す時は、良い心持ちでせよ。喜んで施せ。何でも求められる物は施せ。施しに三通りある。財施、法施、無畏施の三つである。財施して、人に善心を起させると法施ともなる。無畏施は災難、苦労、悩みなどを無くしてやる事である。

第九、瞋不受悔戒

人を怒らせてはならぬ。慈悲心を養え。腹が立っても人が赦してくれと頼めば、〈受け〉容れてやれ。それを受け容れぬと重い罪になる。人にはプンと怒る性分が有る。それは、しかたがない。其の怒りを持ち続けて解けぬ時は、重い罪になる。

慈悲の眼に憎しと思う人はなし
罪ある人ぞ哀れなりける

第十、邪見謗法戒

邪見を起して、正法を謗るは、重い罪である。

〈中井常次郎様の直筆の聞き書き原稿の一部〉

「聖者の俤」について

「ひかり編集室」は、現在、聖者の偉業を「新・真・深の法門」として、皆様方にわかりやすくまとめるために、聖者のご遺稿や聴書等の整理をしています。

その一環として、聖者と縁者の出会いを、まとめていきたいと思っております。

いかにして信仰の火が、聖者から縁者に伝わっていったのか?またどのような心境の変化があったのか?その経緯をひもといていくことにより、聖者とこの『ひかり』の書面を通して出会い、さらには私達の心にも、火を灯していきたいと思います。

ひかり編集部より

本稿は弁栄聖者とご縁の深い中井常次郎(弁常居士)様の著『乳房のひととせ』上巻より抜粋して掲載しています。この本は昭和16年に発行されましたが、現在入手困難となっており、未読の方も少なからずいらっしゃると思います。ここで再録し、聖者と著者との出会い、信仰の深まり、そして聖者の人格とご法話に触れていきたいと思います。現代仮名遣い、旧漢字を現代常用漢字に改めるなど、読みやすさを最優先し掲載いたします。
また〈 〉の中の表記はひかり編集室にて、前の単語熟語を説明し、また難解な文を補足した箇所です。