子どもと一緒に学びましょう No.50 清らかな心で

お釈迦さまの活躍した頃のお話です。

王舎城(おうしゃじょう)というところに、とても欲の深いお金持ちの男がいました。この男は親孝行もしない、賢者の教えも聞かない、老人を敬うこともせず、わがまま放題な暮らしをしていました。そんな男ですから、だんだんと周囲に人は寄りつかず、仕事もうまくいかなくなっていき、家が傾いてきました。

何とかして、またお金持ちになろうと、だれに教わったのか、男は特殊な祈りを始めました。それは、日が暮れてくると、薪をどんどんもやし、消えるまで「私をまた、昔のような金持ちにしてくれ」と祈るのです。これを男は三年も続けました。ところが一向に効き目がありません。

男は別の祈りを始めました。毎朝昇る日と、毎夜輝く月に、同じように「私をまた、昔のような金持ちにしてくれ」と祈りました。これも三年やりましたが効き目がありません。

また男は別の祈りを始めました。天を拝むため、庭に祭壇をつくり、お香や花やお酒、さらには、イノシシ、羊、牛などをいけにえに供え、毎日毎日おなじように祈りました。しかし、これも一向に効き目がありません。

そうこうしている内に、ますます貧乏になっていき、食べ物がなく、やせ細り、家から出ることすら困難になってしまいました。そんな弱りきっているとき、舎衛城(しゃえじょう)にお釈迦さまという尊い方がいることを聞き、よろめく足を踏みしめながらお釈迦さまの元に向かいました。

縁が結ばれ、お釈迦さまにお会いできた男は、今まで自分のしてきたことすべてを話し、
「どうしたらよいでしょうか?」と尋ねました。
お釈迦さまは「あなたのしてきたことは皆自分勝手の欲心ですよ。そのような心がなくならない間は、どのような祈り方をしたとしても、決して幸せにはなれません」
「幸せになるために大切なことはあなたの心がけです」
「もしあなたが私(仏)の教えを信じ、醜い欲望の心がなくなり、父母に孝行し、賢者や老人を敬うならば、いけにえなどを供えて祈らなくても、あなたの周囲には幸福が自然と集まるでしょう」
と教えられました。